トラウマ(PTSD)ケアを求めている方へ

トラウマ・PTSDのメカニズム

トラウマ(PTSD)とは

トラウマとは、様々な心的外傷体験にさらされたことで生じるストレス症候群です。
私たちは生死にかかわるような出来事を体験、もしくは目撃することにより強い恐怖を感じるものです。しかし、通常であれば自己治癒力や周囲からのサポートにより数週間(通常は4週間以内)のうちに記憶が整理されて恐怖が薄れ、その体験が過去のものとして認識されるようになります。

これに対して、トラウマ(PTSD)と診断される方は記憶の整理がうまくいかずに、体験を過去のものとして認識できずに大きな傷(トラウマ)として様々な精神的・身体的問題を抱え続けている状態とされます。

トラウマ(PTSD)のメカニズム

トラウマ(PTSD)のメカニズム

<自己の変化>

トラウマは恐ろしい記憶の整理がうまくいっていないため、それがフレッシュなまま内在しています。つまり、常に危険と隣り合わせという状態です。そのため、いつどんな時でも何か危険なことが起こるのではないかと、警戒、緊張し、相手に合わせ続けることが無意識に生じます。その結果、いつも落ち着かないためリラックスできず、内面はヘトヘトで疲れ切っています。このように、トラウマは自由に自分らしくいることを妨げます。

<ストレス応答系の変化>

私たちはある程度のストレスに対処するためにストレス応答系と呼ばれる仕組みを備えています。ストレス応答系とは、自律神経系、免疫系、内分泌系の3系を指し、外部からのさまざまな影響に対処しています。これらの機能により、私たちは日々のある程度のストレスに対処することを可能としています。
しかし、過度なストレスや慢性的なストレスがあるとストレス応答系は平常な状態を維持できず、心身の健康のみならず社会的機能も失うことがあります。

<脳の変化>

トラウマ(PTD)患者は、非トラウマ(PTSD)患者と比べて意思決定や共感に関わる「前帯状回」の機能が低下し、逆に痛み・不快・恐怖に関わる「島(島皮質)」や身体感覚の想起に関わる「楔前部」の機能が活発になります。

PTSDの脳体積・機能に関する研究

(1) PTSDが重症であるほど海馬が小さい
(2) 未成年のPTSD患者では海馬は健常者と変わらない
(3) PTSD患者では左の扁桃体が小さい
(4) PTSD患者では前部帯状回が小さい
(5) 未成年のPTSD患者では前頭葉が小さい
(6) 未成年のPTSD患者では脳梁が小さい
(7) 島(島皮質)が活発
(8) 楔前部機能が活発

トラウマ(PTSD)のメカニズム