お知らせ

<更新のお知らせ>トラウマ(PTSD)ケアを求めている方へ

2024年1月11日

トラウマ(PTSD)ケアを求めている方に向けたページを新設いたしました。
詳しくは、「トラウマ(PTSD)ケアを求めている方へ」をご参照ください。

<更新のお知らせ>資格・トレーニング歴 PTSD(トラウマ)・愛着障害

2023年7月13日

資格・トレーニング歴更新のお知らせです。

・恩田がホログラフィートーク ベーシック、ならびにアドバンストテクニック(複雑性PTSDからの回復)を修了いたしました。

・中村がホログラフィートーク ベーシック、ならびにアドバンストテクニック(心理的逆転)を修了致しました。

トラウマの傷を抱えるクライエントへのアプローチについて、これまでツボや眼球運動など身体面にアプローチをする研修を積極的に受講しておりましたが、今回は軽催眠状態を活用する研修を受講し、新たな援助の可能性を知ることができました。

<更新のお知らせ>心理療法 HT(ホログラフィートーク)

2023年7月13日

<心理療法>に「HT(ホログラフィートーク)」を追加致しました。
7月に受講した研修内容をまとめたものになります。
トラウマ治療の一種であり、クライエントはセラピストのガイドをもとに軽催眠状態に誘導され、自らを癒していく治療法になります。
詳しくは、「HT(ホログラフィートーク)」のページをご参照ください。

<更新のお知らせ>資格・トレーニング歴 PTSD(トラウマ)・解離

2023年6月29日

資格・トレーニング歴更新のお知らせです。

恩田がボディコネクトセラピー アドバンス(上級)トレーニングを修了いたしました。

東京未来大学教授の藤本昌樹先生が開発された、ボディコネクトセラピーのコアスキルトレーニングに続き、アドバンス(上級)トレーニングを修了しました。


・中村がUSPT中級トレーニングを修了いたしました。

早稲田通り心のクリニック院長の小栗康平先生が開発された、USPTのベーシック実践トレーニングに続き、中級トレーニングを修了しました。

来月は恩田、中村ともにホログラフィートークを受講予定です。

今後もより一層、PTSD(トラウマ)治療に力を入れて参りたいと思っております。

<国際ヨガデー>ヨガの効果について

2023年6月21日

本日、6月21日は国際ヨガデーです。国際ヨガデーは世界中で人々がヨガを楽しみ、体・心、そして社会の健康を育む日とされています。もちろん私も朝からヨガをしてきました。その中で「チャクラ」についてのお話があり、とても興味深い内容だったため皆さまにも共有したいと思い、ヨガの効果とともにまとめてみることにしました。


<ヨガの効果>

ヨガはポーズと呼吸法、そして瞑想を組み合わせることにより心身ともにリラックスをさせることで、心と身体の不調を整える効果があると言われています。
ヨガ本来の目的は瞑想によって心の内側を静かにし、生きることの辛さや苦悩から逃れることにあります。瞑想を重ねるうちに本来の自分の姿が見えてきて、自分の本当の気持ちや願望に気づき、感じていた生きることの辛さや苦悩へも変化がでてくると言われています。
また、ヨガで精神面も整うと自然と身体に良いものを欲するようになり、食べるものや食べ方自体が変化してくるとも言われています。自分自身を大切にしたいと思うように(思えるように)なってくるのだと思います。
さらに、医学的には、「循環機能」「自律神経」「免疫力」への期待があるとされているようです。
以上から、ヨガはこころとからだの両面に良い効果をもたらすと考えられています。


<チャクラについて>
チャクラという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
チャクラとは、身体の中の7つのエネルギーセンサーのことです。
チャクラが整っていると、心身は快適かつ健康状態に保たれるとされています。一方、チャクラが詰まっていると心身に不調を起こすとされます。
ヨガでは、ポーズ(アーサナ)や呼吸によりチャクラをバランスが取れた状態へと導きます。
そのため、ヨガで7つのチャクラを活性化させることによって心身が安定したり、必要としているエネルギーが欲しいときにはそれに対応したチャクラを活性化させることで心身のコンディションが整ってくるとされています。
また、西洋医学では7つのチャクラはホルモンを作って分泌する場所(内分泌細胞)に対応しているとも考えられているそうです。内分泌細胞に刺激を与えて活性化してあげると、ホルモン分泌のバランスがさらに整い、心身に好影響をもたらすことが期待されています。

①ルートチャクラ(ムーラダーラ)

第1チャクラは、大地のエネルギーと繋がり、土台や基盤を意味します。

第1チャクラをバランスよく安定させることは、地に足をつけ着実に生きていくよう、安定した精神状態を支え安心感をもたらしてくれます。

自分に自信がなかったり、他へ意識が向きやすかったりと人生がうまく行かない時は第1チャクラの活性化を意識し、逆に、利己的で自信過剰の時は、第1チャクラが過剰に開いているので注意しましょう。

②セイクラルチャクラ(スヴァーディシュターナチャクラ)

第2チャクラは、生きる意味や使命をみいだし自立すること、また、原始的な本能を司ると言われています。安定していると、人生を豊かにする感情や創造性などを与えてくれるでしょう。

③ソーラープレクサチャクラ(マニプーラチャクラ)

第3チャクラは、内臓や胃などの健康に関わるだけでなく、自律神経とも深い関わりがあります。バランスが崩れると心配や恐怖などネガティブな感情が溜まりやすく、ストレスにも過剰に反応してしまいます。

過食などにも繋がりやすくなってしまうこともあるそうです。安定した状態であれば判断力もあり、自発的に行動して本来の自分の良さを発揮できるでしょう。

④ハートチャクラ(アナハタチャクラ)

第4チャクラは、信頼や愛情を司るチャクラです。自身を愛し、他人を愛することや感動などを表し、人間関係などに深く関わります。心を開くことで、気持ちや考え方、能力などを分かち合うことができます。

他人との愛ある関係は、人間としても成長をさせてくれるでしょう。人生を豊かに発展させるチャンスを与えてくれるチャクラです。

⑤スロートチャクラ(ヴィシュッダチャクラ)

第5チャクラは、自己表現や相手とのコミュニケーションを司り、バランスよく保てば、他の人との会話を楽しくできるでしょう。

会話力や表現力、ポジティブな会話など、講師をしている方などにも重要なチャクラです。表情よく印象的な会話を心がけたい時に注意を向けてみると良い効果が期待できるかもしれません。

⑥サードアイチャクラ(アジニャーチャクラ)

第6チャクラは、直感やひらめきに関わるチャクラとして有名です。アイデアが降りてきた!思い浮かんだ!などの第6感を司ります。イメージを具現化しやすくなり、未来を実現するのに役立ちます。

第1から第5までのチャクラが整っていて初めて力を発揮するチャクラでもあります。無闇に開いても、未来への不安でネガティブになってしまうこともあるので注意が必要と言われています。

⑦サハスラーラチャクラ(クラウンチャクラ)

第7チャクラは、全てのチャクラの覚醒をコントロールし、自己実現・超意識と関係が深いチャクラで、1番スピリチュアルなチャクラとして知られています。

私は日常にヨガを取り入れたことで気持ちが穏やかになり、物事を前向きに考えることが増えたように感じています。

ご興味があれば、まずは体験からでもヨガに触れてみると良いかもしれません。

<認知バイアス(偏り)について>20種類の認知バイアスのご紹介

2023年5月21日

今回は、20種類の認知バイアスをご紹介します。

認知バイアスとは、多くの人の心に無意識のうちに存在する記憶・判断の歪みや偏り、つまり「考え方のクセ」のことをいいます。「バイアス(偏り)」と聞くとよくないイメージを抱きがちですが(これもバイアスです)、必ずしも悪いわけではありません。心の安定や日常で生じる意思決定などにおいては必要な場合がある一方、心の不安定につながったり、重要な場面で偏った意思決定をしてしまうリスクもあります。

大半の人の心に存在する認知バイアスですが、これにより生じるストレスに気付かぬうちに苦しんでいる人々や、ご自身の力やカウンセリングを受ける中で認知バイアスに気づいていながらも抜け出せずにいる方を見受けることが多々あります。

このような方は認知行動療法などのツールを用いて改善していくケースもあります。また、上述した後者の場合は自分自身を変容することから一度立ち止まり、時にはそれを放棄(距離を置く、手放す、諦める)することにより気づくことがあるかもしれません。

これまで生きてきた自分自身を変えるのはとても辛く苦しいことです。

変容ばかりを求めているなと思われる方は、ある程度納得のいく落としどころを見つけた方が自分自身を受け入れられたり、楽になることもあるように思います。 もちろん、これらは簡単なことではないため、お手伝いできることがあればご協力させていただきたく思います。

1.確証バイアス

自分の仮説や信念と一致する情報ばかりに注目し、それ以外の情報を無視しやすい傾向のこと。

2.バーナム効果

誰にでも当てはまるような内容であっても、自分のことを言い当てられたように感じる効果のこと。

3.生存者バイアス

失敗して失われたものを見ずに、成功して生き残ったものばかりに注目する傾向のこと。

4.後知恵バイアス

何らかの物事や出来事が起きた後で、そのことを事前に予測していたかのように錯覚する傾向のこと。

5.皮肉過程理論

ある事柄について考えないように努力するほど、皮肉なことにそのことが頭から離れなくなってしまう現象のこと。

6.正常性バイアス

多少の異常事態が起こっても「これくらいなら大丈夫だ」と正常の範囲内としてとらえ、いつも通りの行動を続けようとする傾向のこと。

7.現状維持バイアス

新しく挑戦することが合理的な状況であっても、失敗を恐れて現状維持を選択する傾向のこと。

8.サンクコスト効果

すでに費やしたコスト(費用や時間、労力)が無駄になることを受け入れられず、さらなるコストの投入をやめられない現象のこと。

9.フレーミング効果

同じ内容の質問をされても、質問の表現によって答えが変わってしまうこと。

10.二分法の誤謬

実際には複数の選択肢があるのに、「AかBか」の二者択一であるように思い込む傾向のこと。

11.ハロー効果

人や物の優れた点が目につくと、直接関係のない点まで高く評価してしまうこと。

12.ステレオタイプ

国や組織、年齢、性別などに応じた社会的カテゴリーが持つ共通の特徴について単純化した固定概念のこと。

13.外集団同質性バイアス

自分が属している内集団には多様な人物がいると思う一方で、自分が属していない外集団の人物は同質性が高い、つまり同じような特徴を持った人であるように認識する傾向のこと。

14.同調バイアス

自分の行動を他者の行動に合わせようとする傾向のこと。

15.構成世界仮説

「よいことをしたら報われ、悪いことをしたら罰を受ける」という信念のこと。

16.システム正当化理論

人には格差や差別などがあっても現状の社会システムを正当化・維持しようとする傾向があること。

17.行為者−観察者バイアス

人は自分の行動の原因を考えるときには状況や環境などの「外的要因」を考慮する一方で、他者の行動の原因を考えるときには性格や努力などの「内的要因」を重視しやすい傾向があること。

18.スポットライト効果

自分の外見や行動を、他者も自分と同じくらい気にしているだろうと思い込むこと。

19.透明性の錯覚

自分の気持ちが実際以上に他者に見透かされていると思い込む傾向のこと。

20.虚偽記憶

実際には経験していない出来事であるにもかかわらず、まるで経験したような偽物の記憶が作り出されること。

<睡眠について②>睡眠と腸内環境の関係

2023年5月10日

近年、「腸活」というワードをよく耳にするように、様々な書籍や論文で心身の健康には腸内環境が重要だと言われてきております。少し前にはヤクルト1000が入手困難となっており、現在もスーパーなどでは購入数の制限を設けているところを見かけるほどです。ヤクルト1000のパッケージには「ストレス緩和」「睡眠の質の向上」「腸内環境改善」と表示されている点から、これらの効果が多くの人の注目を集めていることが明らかではないでしょうか。

2020年に筑波大学の研究チームがマウスに抗生物質を投与して腸内細菌を除去し、通常のマウスとの睡眠時間などを比較する実験を行ったそうです。結果としては、腸内細菌をもつ普通のマウスは腸内細菌を除去したマウスに比べて睡眠が正しく保たれており、腸内細菌が睡眠に与える影響がうかがえたとのことでした。また、マウスの「24時間の活動リズムは維持されているものの、本来は睡眠をとる時間帯に活動が増え、逆に活動が盛んな時間帯に睡眠をとっており、昼夜のメリハリが弱まっている」ことも示しております。

以上から、睡眠と腸内環境の関係が明らかになるにしたがい、腸内環境の調整が⼼⾝の健康維持のためにいかに重要であるかが明らかにされてきてはおりますが、今後も注目していくことが望ましい点であると思われます。

腸内環境を整える食事については、YouTubeの「本要約チャンネル」に多くの本が紹介されているので、参考にしてみても良いかと思います。

<睡眠について①>不眠症分類の最新研究のご紹介

2023年5月7日

今回はある雑誌の情報をもとに、不眠症分類の最新研究についてご紹介させていただきます。(ご紹介する研究の対象者は日本人ではないため、その点はご考慮をお願いいたします。)

現在、不眠症は4つのタイプに分類されています。それらは、寝付きの悪い「入眠障害」、眠りが浅くて夜中に何度も目がさめる「中途覚醒」、朝早くに目が覚めてしまう「早朝覚醒」、睡眠時間が十分なのに満足感がない「熟眠障害」の4つです。

しかし、近年、オランダ神経科学研究所は不眠症を抱える人の性格や幸福感などに基づく新たな分類を作成しました。その研究では2224人の不眠症患者に19項目のアンケートを行い、結果として不眠症のタイプを5つに分類したことが示されています。それに加えて、不眠症のタイプによりうつ病の発症率が5倍程度変わるほか、睡眠薬の効果も異なることを明らかにしました。

日々臨床をしていると不眠に関する困りを訴える方は、疾患の有無や種類にかかわらずかなり多い印象を受けております。また、2017年の厚生労働省の調査によると、現代の日本人の5人に1人が「睡眠で休養が十分にとれていない」と回答しており、私の主観だけでなくこの結果からも不眠に関する悩みは多くの方が抱えていることが明らかだと思われます。

医療では治療として第一に薬物療法が提案されると思いますが、薬への抵抗がある方や薬の効果が芳しくない方はカウンセリングでの改善もご検討してみると良いと思います。

当オフィスでも不眠症へのカウンセリングを実施しているので、お気軽にご相談ください。

<心理士の生態に迫る>心理士のとある1週間のプライベート紹介

2023年4月26日



様々な理由からプライベートを明かさないのが良しとされている謎多き心理士ですが、ご相談者様としてはご自身が相談する心理士がどういう人なのか気になるのは当然ではないでしょうか。
そのような疑問への一助になればと思い、以下に心理士である私が仕事以外はどのように過ごしているのかを記載させていただきます。

実は、この1週間の生活はあまり良いお手本とはなりません。
なぜお手本にならないかというと、毎日予定が入っているためです。
“to do”ばかりで“to be”を怠っているのが一目瞭然ですね。

私を例に挙げてお話しすると、こころの専門家の一員である心理士も時にはお手本となるような過ごし方をしていないこともあります(専門家でも完璧な人間はいませんからね)。しかし、個人の感覚に基づき、どこかしらでメンタルバランスを整えることができているから社会生活を送れているのだと思います。

皆さんも本や専門家など外部の情報ばかりに耳を傾けるのではなく、内部の情報(自分自身の感覚)にも耳を傾けそれを聞いたり感じたりすることがメンタルヘルスには重要なことです!

<心理療法の技法紹介>精神分析/精神分析的心理療法

2023年4月26日

今では心理療法は400種類以上ものアプローチ方法があると言われています。
心理療法の歴史を遡ると、心理療法は精神分析から新たな学派が無数に発展した変遷を辿っています。
今回は、その発展のベースとなっている「精神分析/精神分析的心理療法」のページを更新しました。https://counseling.kokorotokarada-yokohama.com/therapy/t02.html

精神分析/精神分析的心理療法

【精神分析的心理療法とは】

精神分析的心理療法とは、フロイトが創始した「精神分析」を基本理論にもつ心理療法です。彼は、人の心には無意識と意識があることを発見しました。この自分でもわからない部分の無意識のとらわれから、人は何らかの症状や決まった対人関係を繰り返すことがあります。また、患者様との治療の中で無意識を探求する方法として、寝椅子に寝た姿勢の面接を毎日行い、頭に浮かんだことを選択しないで語ってもらう自由連想法という精神分析の方法を考案しました。元来はこの方法で週6回の頻度で行われており料金もかなり高額でしたが、現在の日本では週1回45分から50分の時間をとり、1回あたりの料金の目安は8,000円~12,000円で寝椅子ではなく対面で行うことが主流となっています。

精神を分析するというと、カウンセラーがクライエントのこころを一方的に分析するというイメージがありますが、実際にはクライエントが自分のこころに率直に向き合いそれを言葉にするという作業にカウンセラーが同行する、というイメージの方が近いと思われます。

【主な対象者】

うつや不安、人間関係に悩み、医師による薬物療法や精神療法だけでは十分に解決せず、自分の心について考えたいという希望のある方にこの心理療法が役に立つ場合があります。

心理療法の開始を考えるにあたり、第一にクライエント本人がこの心理療法を希望していることが重要です。また、開始する前に何回か予備面接(アセスメント面接)をもちます。アセスメント面接の中で、カウンセラーはクライエントの今の心の状態、今にいたるまでのいきさつ、自分の心について考えたいという希望、心の中のことを話す力、などを検討します。その結果、この心理療法が役に立つと考えられた場合、クライエントと話し合いのうえ開始する運びになります。また、症状が今までの生き方と密接に結びついているという考えのもと面接が進められるため、ある程度の時間がかかります。そのため、ゆっくり話を聴いてもらいたい、表面的な変化だけでなく精神的に成長したいという方におすすめの療法です。

【精神分析的心理療法のプロセス】

以下に精神分析的心理療法の始まりから終わりまでの一連のプロセスを紹介しますが、プロセス通りにきれいに進まないことも多くあるため、目安として理解していただく程度が良いと思われます。

①初回面接

カウンセラーとクライエントが初めて会う場面です。まずは自己紹介や枠の説明(カウンセリングのルール説明)などが行われます。

初回面接では主に、主訴(困りごとの内容)、来談経緯(相談しようと思った経緯)、病歴、生育歴、治療歴、家族や友人関係、カウンセリングに望むこと、などが話し合われることが多いです。

初回面接の中である程度の方向性や目標とするところを双方で確認し、同意を得た上で契約になります。

②アセスメント面接

初回面接を経ると、数回のアセスメント面接を行います。この面接の中で、カウンセラーは他の心理療法ではなく精神分析的心理療法を行うことが本当にクライエントに有益か、もし精神分析的心理療法するならどういう観点に注意を向ければ良いのかなどを見立てる作業(アセスメント)を行います。

アセスメント面接では決まったことを話したりするのではなく、比較的自由な会話が展開されることが大半です。このアセスメント面接での数回の自由な会話の中で気持ちが整理されたり新たな気づきを得たりし、問題が改善されることもよくあります。したがって、アセスメント面接にも治療効果があると言われています。

一方、アセスメント面接はカウンセラーがクライエントをアセスメントするだけでなく、クライエントがカウンセラーをアセスメントする場面にもなります。このカウンセラーは信頼できそうか、自分の心を解放しても大丈夫かなどを見極めていることが考えられます。

③カウンセリングの展開

初期の段階では、カウンセリングを受け、自分自身と向き合うことへの不安や葛藤が出てくることが多く、その点を丁寧にお聞きします。その後は徐々に個人的な不安や葛藤が語られ始め、自分自身と向き合う準備が進んでいきます。

中期の段階では、心が大きく揺れ動いたり発展することが少ないため、行き詰まり感やカウンセリングの効果の乏しさを感じることが多い時期です。この時期は根気強さが求められます。したがって、中断やキャンセルはこの時期が最も多いです。しかし、この感覚は大半が人生の中で繰り返し体験してきた行き詰まり(無意識的な部分)と同種のものです。それを回避してしまうとまた同じことを繰り返すことになりかねないため、苦しいですが重要な時期になります。1人では向き合えなかったことをカウンセラーとカウンセリングの中で一緒に向き合い、乗り越える体験が重要となります。

終期の段階では、これまでの自分とは違うといった変化を感じられるようになってくる時期です。これは、中期の段階のこれまでの自分と新たな自分を行き来する行き詰まり感を乗り越えることで感じられることが大半です。

このフェーズを迎えるとカウンセリングの中でどちらかから終了の話題が出てきたりします。しかし、すぐに終了とはせずにある程度の終了の時期を決めて、その後も何回かのカウンセリングを継続することが一般的です。終了の話題が出てから実際に終了するまでの期間は、分離不安、つまりカウンセラーと別れ、独り立ちすることへの不安が扱われることが多くなります。困難を共に乗り越えた1人であるカウンセラーと会うことがなくなるため不安を感じることは当然ですし、それなりに愛着が形成されていると、寂しさを感じることもあるかと思います。これはカウンセラーも同様の感情を感じることがあるものです。

今後も生きていく中で別れに伴う不安や寂しさを経験することはたくさんあると思われるため、クライエントにとってカウンセラーとの別れを乗り越えることは大きな自信ともなります。

また、クライエントの中にはこの別れの辛さに耐えきれず、症状をぶり返したり、新たな問題が出てくることがある方もいます。

【治療効果】

精神分析的心理療法による治療効果はさまざまなことが言われていますが、大きく2つに分けられます。それらは、⑴自分の心の中のことをこれまでよりも理解できるようになること、⑵心の中の人とのかかわり方が今までよりも安定したものになることです。

そのためには、第一にカウンセリングの中で、自分の心の中の気持ちをカウンセラーに理解された、共有できたという経験が重要です。「自分の気持ちがわからない」とよく聞くように、自分の気持ちであっても自分でわかっている部分は一部ではないでしょうか。過去に重要な人物(親など)との間で経験した気持ちの中でも、苦痛な気持ち、受け入れ難い気持ちなどは無意識の中に抑圧されていることがあります。それらは、人とのかかわりの中で不安やトラウマとなって現れ、人とのかかわりを不自由にしている場合があります。そのような無意識の中に抑圧されている気持ちは、カウンセリングの中での自由な語りや転移(治療者に向けられる感情)を通して表現されます。その気持ちがカウンセラーに理解されることで、自分でも今まで気がつかなかった気持ちに気づけるようになり、苦痛な気持ちも含めて自分の気持ちをうまく抱えていけるようになります。また、自分の心の中の気持ちがカウンセラーに理解されたという経験は、人とかかわることへの不安をやわらげたり、人とのかかわりがより安定したものに成熟していくことが期待できます。

以上から、精神分析的心理療法はうつや不安といった症状や人間関係を改善するだけでなく、人生をこれまでよりも豊かなものにしていく可能性を広げます。

【当オフィスでの実施】

当オフィスには精神分析家になるためのトレーニングを受けた心理士(師)が在籍していないため、フロイトが創始したような精神分析は行っておりません。

しかし、精神分析の理論を応用した心理療法は行っております。

自分のこころについて深く考え精神的に成長したいという方には是非受けていただきたい心理療法の一つです。